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最高裁判所第三小法廷 昭和29年(あ)1896号 判決 1956年5月29日

本籍並びに住居

福岡県田川郡金田町字上金田二〇番地

農業

藤元俊治

大正一二年九月七日生

本籍並びに住居

同県同郡同町字上金田二九八番地の一

土木下請業

辰島保

大正九年二月一七日生

右被告人藤元俊治に対する鉄砲刀剣類等所持取締令違反、脅迫、威力業務妨害、同辰島保に対する住居侵入、暴行、傷害、威力業務妨害各被告事件について昭和二九年四月二七日福岡高等裁判所の言渡した判決に対し各被告人から上告の申立があつたので当裁判所は次のとおり判決する。

主文

本件各上告を棄却する。

理由

弁護人諌山博の上告趣意。

第一点について。

しかし原審は刑法二三四条にいう威力とは、業務遂行の意思を制圧するに足りる不当の勢威一般を指称するというのであるから所論のように「威力」の意味を誤解しているものと断ずることはできない。そしてまた、原審は「被告人らは、もし運転中止の要求に応じなければ運転手樋渡鹿吉に対し危害をも加えかねない気勢を示して同人を畏怖せしめた」事実をも認定しているのであるから、かような事実を以て同条にいわゆる「威力」に該るものとした原判決は正当であつて、所論引用の判例と違つた解釈をしたものでない。(昭和二五年(れ)第一八六四号同二八年一月三〇日第二小法廷判決、集七巻一号一二八頁参照)論旨は理由がない。

第二、三点について。

所論は単なる訴訟法違反、事実誤認、量刑不当の主張であつて上告適法の理由に当らない。

被告人両名の上告趣意について。

所論は何れも事実誤認、法令違反、量刑不当の主張に帰し適法の上告理由に当らない。

また記録を調べても同四一一条を適用すべきものとは認められない。

よつて同四〇八条により裁判官全員一致の意見で主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 本村善太郎 裁判官 島保 裁判官 河村又介 裁判官 小林俊三 裁判官 垂水克己)

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